Where do you want to go?
出勤途中、検札に遭遇した。
名古屋から特急豊橋行きに乗車し、知立駅に向かう。
途中、鳴海駅を過ぎようとした辺りで珍しく車掌が車内にあらわれた。
「恐れ入りますが、乗車券を拝見いたします。」
車掌はそういって乗客の乗車券や定期券、トランパスカードを確認しながら
近づいてくる。
私の検札はものの数秒で終了し、反対側の座席の大学生くらいの男の前で
車掌は手を止めた。
「お客様はどちらに行こうとされていますか?」
「…」大学生らしき男は答えない。
「お客様?」
「…名古屋…」
その男の定期券をちらりと見ると、学生用定期券で、区間は名鉄堀田←→名鉄名古屋となっていた。
「お客様どちらの駅で乗車されましたか?」
「…堀田…」
「お客様この列車は堀田駅には停車しておりませんし、名古屋にも向かっていません。いったい、どちらに行かれるのでしょうか?」
「…」
「お客様?」
「…名古屋…」
会話がかみ合わない。
そうこうしている内に列車は知立駅に近づく。
かみ合わない会話に業を切らした車掌は仕方が無く
「間違えてお乗りならば次の知立駅でお降りになって、逆方向の列車に
お乗り換えください。」
と言って車掌室に戻っていった。
堀田から改札に入ったのだとすると、一度神宮前駅に行ってわざわざ反対方向に乗り換えなければこの列車には乗れない。名古屋駅に行くならそもそも乗り換えは不要だ。
あの男はキセル乗車をするつもりだったのだろうか?それとも本当に誤乗だったのだろうか?